Examples of Small Categories and Topological Categories

小圏の用途は大きく分けると2種類ある。まずは, (co)limit の定義に現われる, 添字集合の一般化としての役割がある。 ある圏 \(\bm {C}\) における図式は, ある小圏 \(I\) から \(\bm {C}\) への functor だから, である。 この用途では全ての現代数学の分野に現れる。小圏が filtering という条件をみたすときは扱いやすい。

もう一つは, 幾何学的 (代数的あるいは組み合せ論的?) 対象としての小圏である。 例えば, は object が一つで全ての morphism が逆を持つ小圏とみなすことができる。また monoid は, object が一つの小圏と同値である。このように考えると群や monoid の作用を簡潔に述べることができる。そして, groupoid を圏の言葉を用いないで定義するのは, 非常に不自然である。

  • monoid は object が一つの小圏
  • groupoid は全ての morphism が逆を持つ小圏
  • 群は monoid かつ groupoid である小圏
  • 群 \(G\) を small category とみなしたとき, \(G\) のある圏 \(\bm {C}\) の object \(X\) への作用は, \(G\) の unique な object を \(X\) に写す functor \[ G \longrightarrow \bm {C} \] と同値
  • ある集合における同値関係は groupoid と思える
  • poset は小圏とみなすことができる

Poset への群の作用を考えるときには, poset を小圏とみなすと見通しが良くなることに気づいたのは, Babson と Kozlov [BK05] である。 解説としては, Kozlov の [Koz] もある。

Poset に近いものとして, 各 object の endomorphism が isomorphism しか無いものがある。Lück の [Lüc89] では EI-category と呼ばれている。Oliver の [Oli94] では, ordered category と呼ばれている。更に poset に近いものとして acyclic category というものがある。Kozlov の本 [Koz08] に説明がある。

EI-category の \((\infty ,1)\)-category 版は Shulman の [Shu] で使われている。

具体的な小圏の例として代数的トポロジーでまず知っておくべきなのは, simplicial object を定義するときの \(\Delta \) である。 モデル構造を考えるときには, より一般にReedy category からの functor の成す圏で議論できる。

\(\Delta \) は, 空でない有限全順序集合 (の同型類) と順序を保つ写像の成す圏であるが, それに空集合を付け加えると, ordered union により monoidal category になる。そしてこれは monoidal category に対し, monoid object の成す圏を対応させる \(2\)-functor を 表現する圏になっている。Davydov の [Dav10] は, その braided monoidal version である。

Cyclic homology に関係した cyclic category \(\Lambda \) [Con83] も \(\Delta \) を含むものである。\(\Lambda \) の object は \(\{0,1,\ldots ,n\}\) という形の集合であるが, Elmendorf はそれを \(\Z /n\Z \) とみなし, \(\Lambda \) を coverする小圏 \(L\) を [Elm93] で定義している。 \(\Lambda \) の self duality などは, \(L\) で考えた方がずっとうまくいくようである。 Getzler と Jones [GJ93] は同じ category を \(\Lambda _{\infty }\) で表し, paracyclic category と呼んでいる。

  • \(\Lambda \)
  • linear category あるいは paracyclic category \(\Lambda _{\infty }\)

Getzler と Jones は Nistor の論文 [Nis90] と Fiedorowicz と Loday の論文 [FL91] を参照している。 一方, Ponge [Pon] は, Feigin と Tsygan の [FT87] を参照している。 どうやら, これらが paracyclic category に関する最も古い文献のようである。

Braid群の研究では, Garside category という small category が使われる。

群や monoid については, 位相が入った位相群や topological monoid を考えることができ, 様々な分野で重要な役割を果している。これらは重要な位相圏の例である。\(G\) が位相群のときには, orbit category \(\mathcal {O}(G)\) も topological category とみなすのが自然である。また topological groupoid は, 位相群の位相空間への連続な作用の一般化としても重要である。例えば, orbifold は topological groupoid の言葉を用いて定義することができる。

  • topological groupoid
  • 位相群は object が一つの topological groupoid
  • 位相群 \(G\) の位相空間 \(X\) への作用は objectの空間が \(X\) で morphism の空間が \(G\times X\) である topological category
  • 位相群 \(G\) の orbit category \(\mathcal {O}(G)\)

一般の topological category も, 最近様々な場面で使われるようになってきた。例えば Weiss の orthogonal calculusMark Johnson による spectrum の定義などである。

References

[BK05]

Eric Babson and Dmitry N. Kozlov. “Group actions on posets”. In: J. Algebra 285.2 (2005), pp. 439–450. arXiv: math/0310055. url: http://dx.doi.org/10.1016/j.jalgebra.2001.07.002.

[Con83]

Alain Connes. “Cohomologie cyclique et foncteurs \(\mathrm {Ext}^{n}\)”. In: C. R. Acad. Sci. Paris Sér. I Math. 296.23 (1983), pp. 953–958.

[Dav10]

A. Davydov. “Quasi-commutative algebras”. In: Appl. Categ. Structures 18.4 (2010), pp. 377–406. arXiv: 0808 . 1627. url: http://dx.doi.org/10.1007/s10485-008-9172-1.

[Elm93]

A. D. Elmendorf. “A simple formula for cyclic duality”. In: Proc. Amer. Math. Soc. 118.3 (1993), pp. 709–711. url: http://dx.doi.org/10.2307/2160108.

[FL91]

Zbigniew Fiedorowicz and Jean-Louis Loday. “Crossed simplicial groups and their associated homology”. In: Trans. Amer. Math. Soc. 326.1 (1991), pp. 57–87. url: http://dx.doi.org/10.2307/2001855.

[FT87]

B. L. Feı̆gin and B. L. Tsygan. “Additive \(K\)-theory”. In: \(K\)-theory, arithmetic and geometry (Moscow, 1984–1986). Vol. 1289. Lecture Notes in Math. Berlin: Springer, 1987, pp. 67–209. url: http://dx.doi.org/10.1007/BFb0078368.

[GJ93]

Ezra Getzler and John D. S. Jones. “The cyclic homology of crossed product algebras”. In: J. Reine Angew. Math. 445 (1993), pp. 161–174. url: http://dx.doi.org/10.1515/crll.1995.466.19.

[Koz]

Dmitry N. Kozlov. Trends in Topological Combinatorics. arXiv: math/ 0507390.

[Koz08]

Dmitry Kozlov. Combinatorial algebraic topology. Vol. 21. Algorithms and Computation in Mathematics. Berlin: Springer, 2008, pp. xx+389. isbn: 978-3-540-71961-8. url: http://dx.doi.org/10.1007/978-3-540-71962-5.

[Lüc89]

Wolfgang Lück. Transformation groups and algebraic \(K\)-theory. Vol. 1408. Lecture Notes in Mathematics. Mathematica Gottingensis. Berlin: Springer-Verlag, 1989, pp. xii+443. isbn: 3-540-51846-0.

[Nis90]

V. Nistor. “Group cohomology and the cyclic cohomology of crossed products”. In: Invent. Math. 99.2 (1990), pp. 411–424. url: https://doi.org/10.1007/BF01234426.

[Oli94]

Bob Oliver. “Higher limits via Steinberg representations”. In: Comm. Algebra 22.4 (1994), pp. 1381–1393. url: http://dx.doi.org/10.1080/00927879408824911.

[Pon]

Raphael Ponge. Para-S-Modules and Perturbation Lemmas. arXiv: 1810.04835.

[Shu]

Michael Shulman. Univalence for inverse EI diagrams. arXiv: 1508. 02410.