Euclid幾何学

Euclid幾何学は, 中学校で勉強して以来あまり目にすることはない。 中学校のEuclid幾何学は, ギリシャ流の点や直線などを定義しないで証明を行なう幾何学であり, 現代数学の枠組みには入らないからだろう。

現代的には, 平面は \(\R ^{2}\) であり, 点は \(\R ^{2}\) の元と定義すべきである。 直線, 円, 三角形なども \(\R ^{2}\) の部分集合として定義したい。 そのような本としては, 岩堀の [岩堀長00]がある。 英語では, Hartshorne の [Har00]だろうか。

まず, 理解したいのは, 等長変換 (isometry) の特徴付けである。

  • \(\R ^{n}\) の等長変換は, 高々 \((n+1)\) 個の超平面に関する鏡映の合成 で表される。
  • \(\R ^{n}\) の原点を保つ等長変換は, \(O(n)\) の元で表される。
  • \(\R ^{n}\) の等長変換群は, \(O(n)\) と平行移動を表す \(\R ^{n}\) の半直積。

等長変換群が鏡映で生成されるのは, Euclid幾何だけでなく, 双曲幾何や球面幾何にも共通の性質である。

古典的な Euclid幾何学で扱う多角形や多面体は, 現代的には, 凸多面体の理論で扱うべきである。 より一般の凸集合も様々な場面で登場する。

References

[Har00]

Robin Hartshorne. Geometry: Euclid and beyond. Undergraduate Texts in Mathematics. Springer-Verlag, New York, 2000, pp. xii+526. isbn: 0-387-98650-2. url: http://dx.doi.org/10.1007/978-0-387-22676-7.

[岩堀長00]

岩堀長慶. 初学者のための合同変換群の話. 京都: 現代数学社, 2000, p. 202.