DG category

代数幾何学や有限次代数の表現論など, ホモロジー代数が有用な役割を果してきた分野では, Abelian category から derived category を作り, その triagulated category としての性質を調べることにより, 様々な情報を得てきた。しかし model category を知っている人間は, derived category にしてしまわないで, chain complex のままで考えた方がいいのではないか, と思ってしまう。

それに対する代数の世界での解答の一つが differential graded category (dg category), そしてその一般化である \(A_{\infty }\)-category である。つまり, triangulated category を作る一歩前の段階として dg category を考えようと言うのである。

そのようなことを考えたものとしては, Bondal と Kapranov の [BK90] が最も有名である。彼等は, homotopy category が triangulated category になるための dg category に関する条件を考えた。そのような dg category を 元の triangulated category の dg enhancement という。

例としては, まず dg algebra を object 1つの dg category とみなしたものがある。また, chain complex の category も基本的な例である。

  • dg category としての dg algebra
  • dg category としての chain complex の category
  • matrix factorization から得られる dg category

幾何学的なものとしては, 例えば Cooper [Coo] が曲面から定義した contact category がある。ホモトピー圏が triangulated category になっているので, これは pretriangulated dg category である。

Enhanced triangulated category のモデルとしては, 最近は stable \(\infty \)-category もあるが, dg category から \((\infty ,1)\)-category, そして pretriangulated dg category から stable \(\infty \)-category を作る方法として, dg nerve がある。

代数幾何学で dg category を使う動機については, [Shk13] の Introduction に簡潔にまとめられている。 数理物理学では, Kontsevich が matrix factorizatioin の dg category を Landau-Ginzburg model における B-model を記述するのに使うことを提案している。

Dg category を最初に考えたのは G.M. Kelly [Kel65] らしい。このような歴史的なことも含めた dg category 全般については, B. Keller の survey [Kel06] をみるとよい。 Toën の lecture note [Toë11] もある。

Dg category の間の morphism を考えるときには, homology の同型を誘導するものは invertible であると思いたい。つまり \[ \bm {A} \larrow {f} \bm {B} \rarrow {g} \bm {C} \] で \(f\) が quasi-equivalence のとき, \(\bm {A}\) から \(\bm {C}\) に morphism があると思いたい。Vologodsky [Vol10] ではそのようなものは, quasi-functor と呼ばれている。

  • dg category の間の dg functor
  • dg category の間の quasi-equivalence
  • dg category の間の dg quasi-functor

Dg category \(\bm {A}\) の object \(a\) に対し, morphism の集合 \(\bm {A}(a,a)\) は morphism の合成を積として dg algebra になる。 特に, 唯一つの object を持つ dg category は, dg algebra と同一視できる。 この意味で, dg category は dg algebra の一般化になっている。 このように (\(k\)-linear) category を “ ring with many objects” とみなすのは, よくやる手である。

この視点からは, dg algebra \(\bm {A}(a,a)\) 上の module は, \(\bm {A}\) から dg module の category への functor \[ F : \bm {A} \longrightarrow \category {dg}(\lMod {k}) \] による \(a\) の像 \(F(a)\) と同一視できる。これを一般化して dg category の module を定義できる。

  • dg category 上の left module と right module

このように, dg algebra に関することは, そのderived category の構成も含め, ほとんど dg category に一般化することができる。例えば, dg category の module の圏は Frobeinus category になるし, その homotopy category は triangulated category になる。Homotopy category で quasi-isomorphism を localize して derived category が定義される。

  • dg category の derived category

Karabas と Lee の [KL] では, semifree dg algebra の dg category 版が定義されている。

  • semifree dg category

そして semifree dg category に対し cylinder object を定義することにより, semifree dg category の homotopy colimit の記述を得ている。

ホモトピーと言えば変形であるが, dg category の object の deformation theory について考えているのは, Efimov と Lunts と Orlov [ELO09; ELO10; ELO11] である。

Dg category の圏では様々な構成が行なえる。これが triangulated category と 比較したときの dg category の最大の利点の一つだろう。例えば, triagulated category への 群の作用を考えるときに, dg enhancement を使っているのは, Sosna の [Sos12] である。

Ringel により Abelian category に対して定義された Hall algebra の構成も, Toën [Toë06] により dg category に一般化されている。

Dg category は chian complex の category で enrich された category であるが, Tabuada は, その “topological version”, つまり chain complex の category を spectrum の category に変えたものを考える方が本質的であると考えているようである。Tabuada は spectral category と呼んでいる。

他にも, dg category の一般化や変種は色々考えられている。

References

[BK90]

A. I. Bondal and M. M. Kapranov. “Framed triangulated categories”. In: Mat. Sb. 181.5 (1990), pp. 669–683.

[Coo]

Benjamin Cooper. Formal Contact Categories. arXiv: 1511.04765.

[ELO09]

Alexander I. Efimov, Valery A. Lunts, and Dmitri O. Orlov. “Deformation theory of objects in homotopy and derived categories. I. General theory”. In: Adv. Math. 222.2 (2009), pp. 359–401. arXiv: math/0702838. url: https://doi.org/10.1016/j.aim.2009.03.021.

[ELO10]

Alexander I. Efimov, Valery A. Lunts, and Dmitri O. Orlov. “Deformation theory of objects in homotopy and derived categories. II. Pro-representability of the deformation functor”. In: Adv. Math. 224.1 (2010), pp. 45–102. arXiv: math/0702839. url: https://doi.org/10.1016/j.aim.2009.11.004.

[ELO11]

Alexander I. Efimov, Valery A. Lunts, and Dmitri O. Orlov. “Deformation theory of objects in homotopy and derived categories III: Abelian categories”. In: Adv. Math. 226.5 (2011), pp. 3857–3911. arXiv: math/0702840. url: https://doi.org/10.1016/j.aim.2010.11.003.

[Kel06]

Bernhard Keller. “On differential graded categories”. In: International Congress of Mathematicians. Vol. II. Eur. Math. Soc., Zürich, 2006, pp. 151–190. arXiv: math/0601185.

[Kel65]

G. M. Kelly. “Chain maps inducing zero homology maps”. In: Proc. Cambridge Philos. Soc. 61 (1965), pp. 847–854. url: https://doi.org/10.1017/s0305004100039207.

[KL]

Dogancan Karabas and Sangjin Lee. Homotopy Colimits of DG Categories and Fukaya Categories. arXiv: 2109.03411.

[Shk13]

D. Shklyarov. “Hirzebruch-Riemann-Roch-type formula for DG algebras”. In: Proc. Lond. Math. Soc. (3) 106.1 (2013), pp. 1–32. arXiv: 0710.1937. url: https://doi.org/10.1112/plms/pds034.

[Sos12]

Pawel Sosna. “Linearisations of triangulated categories with respect to finite group actions”. In: Math. Res. Lett. 19.5 (2012), pp. 1007–1020. arXiv: 1108.2144. url: https://doi.org/10.4310/MRL.2012.v19.n5.a4.

[Toë06]

Bertrand Toën. “Derived Hall algebras”. In: Duke Math. J. 135.3 (2006), pp. 587–615. arXiv: math/0501343. url: http://dx.doi.org/10.1215/S0012-7094-06-13536-6.

[Toë11]

Bertrand Toën. “Lectures on dg-categories”. In: Topics in algebraic and topological \(K\)-theory. Vol. 2008. Lecture Notes in Math. Springer, Berlin, 2011, pp. 243–302. url: http://dx.doi.org/10.1007/978-3-642-15708-0.

[Vol10]

Vadim Vologodsky. “On the derived DG functors”. In: Math. Res. Lett. 17.6 (2010), pp. 1155–1170. arXiv: 1004.1918. url: https://doi.org/10.4310/MRL.2010.v17.n6.a14.