Hopf algebra や bialgebra

Hopf algebra とは, algebra と coalgebra の構造を合せ持つ代数的構造である。 ある意味で群を線形化したものと言ってよいだろう。 よって, 逆元を取る操作に対応する構造を持つ。そのような構造を持たないものは bialgebra と呼ばれる。

Hopf algebra は, 様々な場面で登場する。代数的トポロジーでは (コ)ホモロジーとして現れるものが多いので, 次数付きであると仮定するのが普通である。そのような Hopf algebra に関する文献としては, Milnor と Moore の [MM65]が有名である。 それを元にしたものであるが, May と Ponto の [MP12] の Part 5 に, 代数的トポロジーで必要な Hopf algebra と bialgebra についてまとめられているので, 便利である。

群の線形化と考えると, group algebra を基本的な Hopf algebra の例と考えるべきだろう。より一般に, 代数群の関数環や量子群として現れるものもある。 体のGalois拡大 も Hopf algebra の言葉で述べることができる。

Andruskiewitsch と Santos が Hopf algebra の起源について書いた [AF09] によると, 最初に Hopf algebra を定式化したのは, Cartier (1956年) で, 代数群がその起源だったようである。 Hopf algebra という名前は, Borel により1953年に導入されたので, 名前の方が早かったようである。Cartier は [Car07] という survey も書いている。

私は, 最初に Milnor と Moore の論文などで Hopf algebra について勉強したので, Hopf algebra の起源は代数的トポロジーにおける Hopf の仕事で, その後純粋に代数的な構造として扱われるようになったと思い込んでいたのだが, この Andruskiewitsch と Santos の解説で, 代数群の研究が独立したもう一つの起源だったことを知った。更に, Andruskiewitsch による finite dimensional Hopf algebra の survey [And14] によると, von Neumann algebra の圏での group object もその起源の一つらしい。

このように群の一般化とみなすと, 群に関する様々な概念を Hopf algebra に一般化したくなるし, そのようなアプローチは基本的である。 例えば, extension については多くの人に調べられている。関連して, Hopf algebra の作用や群の半直積の一般化も考えられている。

当然分類もしたくなる。

また, 群のコホモロジーに対応する Hopf algebra のコホモロジーを考えたくなる。実際, bialgebra や Hopf algebra のコホモロジーは, その用途に合せ, 様々なものが考えられている。

Böhm の [Böh10] の冒頭に書かれているように, Hopf algebra の理論で行なわれてきた構成は, より一般的な category theory での構成の特別な場合であることが分かってきた。 \(2\)-categorymonad などの言葉がどんどん使われるようになってきたようである。そのような categorical な一般化以外にも様々な一般化が考えられている。

もう一つの Hopf algebra と monoidal category との関係は, 表現の圏との関係, つまり Tannka-Krein duality である。これについては, Vercruysse の [Ver] にまとめられている。

他に Hopf algebra と関連した話題については, 以下にまとめた。

References

[AF09]

Nicolás Andruskiewitsch and Walter Ferrer Santos. “The beginnings of the theory of Hopf algebras”. In: Acta Appl. Math. 108.1 (2009), pp. 3–17. arXiv: 0901.2460. url: http://dx.doi.org/10.1007/s10440-008-9393-1.

[And14]

Nicolás Andruskiewitsch. “On finite-dimensional Hopf algebras”. In: Proceedings of the International Congress of Mathematicians—Seoul 2014. Vol. II. Kyung Moon Sa, Seoul, 2014, pp. 117–141. arXiv: 1403.7838.

[Böh10]

Gabriella Böhm. “The weak theory of monads”. In: Adv. Math. 225.1 (2010), pp. 1–32. arXiv: 0902 . 4192. url: http://dx.doi.org/10.1016/j.aim.2010.02.015.

[Car07]

Pierre Cartier. “A primer of Hopf algebras”. In: Frontiers in number theory, physics, and geometry. II. Springer, Berlin, 2007, pp. 537–615. url: http://dx.doi.org/10.1007/978-3-540-30308-4_12.

[MM65]

John W. Milnor and John C. Moore. “On the structure of Hopf algebras”. In: Ann. of Math. (2) 81 (1965), pp. 211–264. url: http://dx.doi.org/10.2307/1970615.

[MP12]

J. P. May and K. Ponto. More concise algebraic topology. Chicago Lectures in Mathematics. Localization, completion, and model categories. Chicago, IL: University of Chicago Press, 2012, pp. xxviii+514. isbn: 978-0-226-51178-8; 0-226-51178-2.

[Ver]

Joost Vercruysse. Hopf algebras—Variant notions and reconstruction theorems. arXiv: 1202.3613.