多角形は, 2次元の 多面体であるが, 多面体の研究の中心が 凸多面体なのに対し, 多角形は凸でないものも結構調べられているようである。
多角形については, 日本語では, 桝田と福川の本 [枡福13] をまず読んでみるのがいいかもしれない。 あまり予備知識を必要とせず Pick
の公式などの面白い現象が解説されている。 格子多角形中心であるが。
格子多角形は, 頂点の座標が整数であるものであるが, 辺の長さが整数であるものは, integer polytope と呼ばれるようである。
East と Niles [EN19] によると Honsberger [Hon85] により, 与えられた自然数 \(n\) に対する辺の長さの合計が \(n\) である
integer polygon の合同類の数が得られている。East と Niles はその一般化を得ている。
可積分系に関係した話題としては, pentagram map という凸多角形から新しい凸多角形を作る操作がある。 多角形の moduli
空間 (configuration space) の上の自己写像と考えることもできる。
Ovsienko と Schwartz と Tabachnikov [OST10] によると, pentagram map は
R. Schwartz [Sch92] により導入されたものらしい。
Dimer model から作られるものとして, characteristic polygon と呼ばれるものがある。Holmes の [Hol22]
を見るとよい。
- dimer model の characteristic polygon
Adin と Roichman の [AFR10] では, 少なくとも一つの辺が境界にある凸多角形の三角形分割を triangle-free
triangulation と呼び, graphic hyperplane arrangement との関係が調べられている。
- triangle-free triangulation
多角形の分割としては, 三角形への分割であるが, 単体的複体になっていないものも考えられている。 Abrams と Pommershiem
の [AP] で知った。 その研究は Monsky の [Mon70] から発展したようである。 Monsky は dissection
と呼んでいる。
ただ, 凸多角形の dissection を別の意味で使う人もいる。例えば, Conley と Ovsienko [CO23] は,
交わらない対角線による分割を dissection と呼んでいる。 つまり頂点に番号が付いていない noncrossing partition
のことである。
これは frieze pattern や cluster algebra と関係が深いが, cluster algebra の視点からは, Berenstein
と Retakh [BR18] により, noncommutative polygon が定義されている。そこでは noncommutative
polygon の triangulation も定義されている。
References
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[AFR10]
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Ron M. Adin,
Marcelo Firer, and Yuval Roichman. “Triangle-free triangulations”.
In: Adv. in Appl. Math. 45.1 (2010), pp. 77–95. arXiv: 1009.2628.
url: http://dx.doi.org/10.1016/j.aam.2009.11.001.
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[AP]
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polygonal dissections. arXiv: 2301.03475.
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[BR18]
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Arkady Berenstein and Vladimir Retakh. “Noncommutative marked
surfaces”. In: Adv. Math. 328 (2018), pp. 1010–1087. arXiv:
1510.02628. url: https://doi.org/10.1016/j.aim.2018.02.014.
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[CO23]
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and Valentin Ovsienko. “Counting quiddities of polygon dissections”.
In: Math. Intelligencer 45.3 (2023), pp. 256–262. arXiv: 2202.00269.
url: https://doi.org/10.1007/s00283-022-10180-3.
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[EN19]
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James East and Ron Niles. “Integer polygons of given perimeter”. In:
Bull. Aust. Math. Soc. 100.1 (2019), pp. 131–147. arXiv: 1710.11245.
url: https://doi.org/10.1017/s0004972718001612.
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[Hol22]
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D. Holmes. “Affine dimers from characteristic polygons”. In: PUMP
J. Undergrad. Res. 5 (2022), pp. 24–51. arXiv: 2110.01703.
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[Hon85]
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Ross Honsberger. Mathematical gems. III. Vol. 9. The Dolciani
Mathematical Expositions. Mathematical Association of America,
Washington, DC, 1985, pp. v+250. isbn: 0-88385-313-2.
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[Mon70]
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Paul Monsky. “On dividing a square into triangles”. In: Amer. Math.
Monthly 77 (1970), pp. 161–164. url:
https://doi.org/10.2307/2317329.
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[OST10]
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Valentin Ovsienko, Richard Schwartz, and Serge Tabachnikov.
“The pentagram map: A discrete integrable system”. In: Comm.
Math. Phys. 299.2 (2010), pp. 409–446. arXiv: 0810.5605. url:
http://dx.doi.org/10.1007/s00220-010-1075-y.
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[Sch92]
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Richard Schwartz. “The
pentagram map”. In: Experiment. Math. 1.1 (1992), pp. 71–81. url:
http://projecteuclid.org/euclid.em/1048709118.
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[枡福13]
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枡田幹也 and 福川由貴子. 格子からみえる数学. 日本評論社, 2013. isbn: 9784535785830.
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