Websites

最近は雑誌の online 化や preprint server の充実などにより, 図書館に足を向けるより web で検索することの方が多くなった。 昔の論文の online 版 も, 多くのものが手に入るようになっている。 Web に限らず, インターネットを利用することにより数学の研究が大きく変ってきたことについては, Tao の講演の slide を見るとよいと思う。

Tao の講演は, 数学的な内容を含まない一般的な講演であるが, より専門的な講義や講演のビデオを公開することも徐々に一般的になってきている。例えば, Eugenia Cheng らによる “the Catsters” は, monad や adjunction などに関する lecture を YouTube で公開している。Ben-Zvi の GRASP Lecture Series のページでは, 興味深い lecture を数多く見ることができる。

新型コロナウィルスの感染が拡大して以降は, 更に動画の作成が盛んになっている。 例えば, Borcherds の解説はとても評判が良い。そして, とても頻繁に動画が上がっている。 個人的には, Yakerson の Math-life balance というチャンネルが, active な若い人の interview があって, 面白いと思う。

質問のためのサイトもできた。

最近では, Google で検索すると MathOverflow の質問や回答が出てくることも多くなった。 既存の数学に関する話題だけでなく, 新しい数学の提案も MathOverflow で行なわれているので, できるだけチェックしたい。例えば, この質問では, 結び目の新しい不変量が提案されたようである。

新しいことを勉強しようというときには, 分かりやすい解説が欲しい。 そのようなものを集めた website として次の AMS のものがある。Hatcher の スペクトル系列\(K\)-theory についてのノートもここから download できる。

百科辞典的なサイトとしては, もちろん Wikipedia は有用であるが, あまり専門的な内容は期待できない。私にとっては, nLab の方がずっと有用である。 より書籍に近いものとしては, de Jong の Stacks Project や Lurie の Kerodon がある。 Category theory に関する Clowder project というのもできた。

もちろん, 実際に勉強する際には論文を手に入れることが重要である。 論文を探す最も一般的な方法は MathSciNet だろう。しかしながら, MathSci は Review を読むことに主眼を置いている。例えば BIB\(\mathrm {\TeX }\) のデータが欲しいだけなら MR Lookup という AMS の無料のサービスが便利である。実際, このサイトの出版されている論文の参考文献データは, MR Lookup で検索して現われたBIB\(\mathrm {\TeX }\) データをコピー・アンド・ペーストしただけである。

もちろん preprint (e-print) server も重要である。 arXiv 以外にも, 特定の分野に特化したものもある。

かつては, Purdue 大学に Wilkerson が管理していた Hopf という algebraic topology の preprint を集めたサイトがあったが, 現在は運用されていない。

数学者の blog も色々ある。 数学関係のblogを集めた site もある。 まずはここを見るのがよいかもしれない。

その他知っておくと便利 (?) な site として以下のものがある。

The Mathematics Genealogy Project は, どの数学者が誰の弟子かというデータベースを構築しようというプロジェクトで, 欧米の大学で博士号を取った数学者についてはかなりのデータが集まっているようである。

The American Mathematical Society (AMS) の web site には上に書いた MathSciNet や MR Lookup 以外にも, 様々な有用な情報がある。AMS は膨大な数の数学書を出版しているが, 会員になればそれらの本も安く買える。