Matrices

行列の階数や対角化は, 大学1年次の線形代数の重要な話題の一つであるが, トポロジーのためには以下のことを知っていればいいだろう。

  • 行列式 (determinant) と小行列式
  • 固有値と固有ベクトル
  • trace
  • Cayley-Hamiltonの定理
  • 対称行列
  • 正規 (normal) 行列
  • 複素正方行列がユニタリ行列で対角化できるための必要十分条件は正規であること。
  • 正規行列のスペクトル分解
  • 実正方行列が直交行列で対角化できるための必要十分条件は対称であること。
  • 実対称行列のスペクトル分解

行列式は, 多様体などの向きを考えるときの基本になる。 行列式の category level への一般化は, Deligne [Del87] が考えたのが最初だろうか。Muro, Tonks, Witte [MTW] がその一般化を考えている。

行列式を求めたり, 連立一次方程式を解いたりするときは, 普通, 行や列に関する基本変形を行なう。 特に行列式の場合は行と列を両方用いることができる。 一般の可換環上で行と列の基本変形を行なうときに, 最終的に目指す形の一つに Smith normal form と呼ばれるものがある。 Stanley の survey [Sta] をまず見るとよい。

  • Smith normal form

行列式の定義の式で符号を全て正にしたものを permanent と言うらしい。Loebl の [LM] で Jones 多項式を表わすために用いられている。

  • pernament

正規行列と実対称行列のスペクトル分解は, Segal の \(K\)-homology の構成で重要な役割を果す。

正規行列の重要な例は, Hermite行列である。

  • Hermite行列
  • positive definite な Hermite行列 \(A\) に対し \[ A = B^2 \] となる \(B\) がただ一つ存在する。

この事実は, Lie群に関係した空間の間の同相写像を作るときによく使われる。 例えば, [横田一71] でも使われているし, [Cra87] でも使われている。

小行列式が全て正 (あるいは非負) である行列を totally positive (あるいは totally non-negative) という。

Fomin の [Fom10] によると, total positivity の理論は, classical mechanicsprobability など様々なことに関連しているようである。もちろん, この Fomin の論文のタイトルにもあるように cluster algebra と関係が深い。

Albuquerque と Majid の [AM99] では, Hadamard行列によって定義された cochain で巡回群の group ring の積を twist した algebra が定義され, 調べられている。

  • Hadamard 行列
  • 複素 Hadamard 行列

複素Hadamard 行列については, Tadej と Zyczkowski の concise course [TŻ06] がある。 Banica の [Ban] によると, 複素 Hadamard行列は, subfactor, quantum group, 組み合せ論, 表現論, quantum physics など様々なところに現われるようである。

References

[AM99]

Helena Albuquerque and Shahn Majid. “Quasialgebra structure of the octonions”. In: J. Algebra 220.1 (1999), pp. 188–224. arXiv: math/9802116. url: http://dx.doi.org/10.1006/jabr.1998.7850.

[Ban]

Teodor Banica. Quantum permutations, Hadamard matrices, and the search for matrix models. arXiv: 1109.4888.

[Cra87]

M. C. Crabb. “On the stable splitting of \(\mathrm{U}(n)\) and \(\Omega \mathrm{U}(n)\)”. In: Algebraic topology, Barcelona, 1986. Vol. 1298. Lecture Notes in Math. Berlin: Springer, 1987, pp. 35–53. url: http://dx.doi.org/10.1007/BFb0082999.

[Del87]

P. Deligne. “Le déterminant de la cohomologie”. In: Current trends in arithmetical algebraic geometry (Arcata, Calif., 1985). Vol. 67. Contemp. Math. Providence, RI: Amer. Math. Soc., 1987, pp. 93–177. url: http://dx.doi.org/10.1090/conm/067/902592.

[Fom10]

Sergey Fomin. “Total positivity and cluster algebras”. In: Proceedings of the International Congress of Mathematicians. Volume II. New Delhi: Hindustan Book Agency, 2010, pp. 125–145. arXiv: 1005.1086.

[LM]

Martin Loebl and Iain Moffatt. A permanent formula for the Jones polynomial. arXiv: 0705.4548.

[MTW]

Fernando Muro, Andrew Tonks, and Malte Witte. On determinant functors and \(K\)-theory. arXiv: 1006.5399.

[Sta]

Richard P. Stanley. Smith Normal Form in Combinatorics. arXiv: 1602.00166.

[TŻ06]

Wojciech Tadej and Karol Życzkowski. “A concise guide to complex Hadamard matrices”. In: Open Syst. Inf. Dyn. 13.2 (2006), pp. 133–177. arXiv: quant-ph/0512154. url: http://dx.doi.org/10.1007/s11080-006-8220-2.

[横田一71]

横田一郎. 群と位相. 東京: 裳華房, 1971.