Group Completion

モノイド \(M\) が与えられたとき, それに逆元を形式的に付け加えて にすることは, 古くから考えられている。 そのような操作を group completion という。 例えば, 負の整数は \(0\) 以上の整数が加法に関して成す monoid の group completion により生れたものである。より新しくは, \(K\)-theory (\(K_0\)) の定義がある。 位相空間の \(K\)-theory の場合, finite rank vector bundle の同型類の集合が \(\oplus \) に関して成す monoid の group completion として得られる。

Dehornoy と Paris の [DP99] では, monoid (semigroup) の group completion については, Clifford と Preston の [CP61] が参照されている。

ホモトピー論の視点からは, Fiedorowicz の [Fie84] や [Fie02] を知っておくべきだろう。 前者では Proposition 4.4 として, monoid の group completion への包含が, 分類空間を取ったときにホモトピー同値写像を誘導するための条件が書かれている。 後者では, simplicial monoid の group completion についての Moore の予想の反例が得られている。

一般化としては, まず many-objectification がある。つまり, モノイドや群を object 1つの small category とみなし, category に対する操作に一般化することである。全ての morphism の逆を付け加えると groupoid になる。 Group completion の一般化なので groupoid completion というのがよさそう であるが, groupoid of fractions とか enveloping groupoid と呼ばれることの方が多いようである。 構成については, Dehornoy らの [Deh+15] の Chapter III section 3 を見るのが良いと思う。

  • groupoid completion or groupoid of fractions or enveloping groupoid

この groupoid of fractions という言葉は, Gabriel と Zisman [GZ67] の category of fractions から来ているのだと思う。

Gabriel と Zisman の考えたのは, 全ての morphism ではなく, 特定の morphism のみ可逆にすることであり, そのような操作は category の localization と呼ばれている。環の局所化の一般化になっているからである。

モノイドの category 化としては, monoidal category があるが, 可換モノイドに対する Grothendieck group の構成の categorification としては, Quillen による構成がある。

もう一つの一般化は, up to homotopy にすることである。代数的トポロジーで は, 古くから “up to homotopy で monoid”になっているものが重要な役割を 果してきた。(基点付きの) ループ空間 \(\Omega X\) を始めとして, 様々な例が あり, それらを研究する Hopf 空間という分野が確立 された。

これらは結合法則などが up to homotopy でしか成り立たなかったり, そもそ も成り立たなかったりする。 ループ空間の場合は up to homotopy で逆元を 持つため群の “up to homotopy”版と言える。よって, このようなものについ ては group completion は up to homotopy で associativeなものを ループ空 間にする操作と考えるのがよい。そのようなものを homotopy theoretic group completion という。

References

[CP61]

A. H. Clifford and G. B. Preston. The algebraic theory of semigroups. Vol. I. Mathematical Surveys, No. 7. Providence, R.I.: American Mathematical Society, 1961, pp. xv+224.

[Deh+15]

Patrick Dehornoy, François Digne, Eddy Godelle, Daan Krammer, and Jean Michel. Foundations of Garside theory. Vol. 22. EMS Tracts in Mathematics. Author name on title page: Daan Kramer. European Mathematical Society (EMS), Zürich, 2015, pp. xviii+691. isbn: 978-3-03719-139-2. url: https://doi.org/10.4171/139.

[DP99]

Patrick Dehornoy and Luis Paris. “Gaussian groups and Garside groups, two generalisations of Artin groups”. In: Proc. London Math. Soc. (3) 79.3 (1999), pp. 569–604. url: http://dx.doi.org/10.1112/S0024611599012071.

[Fie02]

Zbigniew Fiedorowicz. “A counterexample to a group completion conjecture of J. C. Moore”. In: Algebr. Geom. Topol. 2 (2002), pp. 33–35. arXiv: math/0202260. url: https://doi.org/10.2140/agt.2002.2.33.

[Fie84]

Z. Fiedorowicz. “Classifying spaces of topological monoids and categories”. In: Amer. J. Math. 106.2 (1984), pp. 301–350. url: http://dx.doi.org/10.2307/2374307.

[GZ67]

Peter Gabriel and Michel Zisman. Calculus of fractions and homotopy theory. Ergebnisse der Mathematik und ihrer Grenzgebiete, Band 35. Springer-Verlag New York, Inc., New York, 1967, pp. x+168. url: https://doi.org/10.1007/978-3-642-85844-4.