多面体に関連したトポロジーの問題

多面体は, Poincaré の時代からトポロジーの基本的な研究対象であった。

現代のトポロジーでも, 多面体に関連した問題は, 結構ある。 代表的なのは scissors congruence の問題だろう。

ホモトピー論で最初に (組み合せ論的な) 多面体が現れたのは, Stasheff のHopf 空間の研究だろう。 高次ホモトピー結合性や, 可換性を考えることにより, 有名な多面体が現われる。

Ziegler の本 [Zie95] によると, この中で最も古いのは permutohedron で, 1911年に Schoute という人によって調べられているらしい。 Permutohedron を凸多面体として構成するのは簡単であるが, associahedron にはいくつかの構成法がある。出版されたものとしては [Lee89] がある。 Gel’fand-Kapranov-Zelevinsky の secondary polytope として, \(n\)角形から構成することもできる。 他にも様々な構成方法が知られていて, Hohlweg と Lange の [HL] で述べられている。

Permutoassociahedron は [RZ94] で凸多面体として構成された。

それぞれの組み合せ論的構造も, いろいろ調べられている。

単体に対しsimplicial set, 立方体に対し cubical set が得られるように, permutohedron から permutohedral set が定義される。Saneblidze と Umble の [SU04] である。

  • permutohedral set

\(2\)次元球面を単体分割してできた多面体について, その\(2\)単体を互いに接しているものは違う色になるように \(4\)色で塗り分けられるか, というのが, 有名な \(4\)色問題である。組み合せ論的な gerbefibered category を用いて, \(4\)色問題と同値な命題を述べることができる [Att06] らしい。

単体的複体のデータからは, Stanley-Reisner環というものが定義できる。

凸多面体は, 2次元球面の regular cell decomposition を定めるが, より一般に, 曲面の regular cell complex としての分割も考えられる。もちろん, \(3\)次元以上の多様体の分割や, 単体だけを用いた, つまり単体的複体としてのできるだけ単体 (頂点) の個数の少ない単体分割を見付けるという問題も考えられる。

これらは, 当然単体分割の問題と深く関係している。

References

[Att06]

Romain Attal. “Combinatorial stacks and the four-color theorem”. In: Cah. Topol. Géom. Différ. Catég. 47.1 (2006), pp. 29–49. arXiv: math/0501231.

[HL]

Christophe Hohlweg and Carsten Lange. Realizations of the associahedron and cyclohedron. arXiv: math/0510614.

[Kap93]

Mikhail M. Kapranov. “The permutoassociahedron, Mac Lane’s coherence theorem and asymptotic zones for the KZ equation”. In: J. Pure Appl. Algebra 85.2 (1993), pp. 119–142. url: http://dx.doi.org/10.1016/0022-4049(93)90049-Y.

[Lee89]

Carl W. Lee. “The associahedron and triangulations of the \(n\)-gon”. In: European J. Combin. 10.6 (1989), pp. 551–560. url: http://dx.doi.org/10.1016/S0195-6698(89)80072-1.

[Mil66]

R. James Milgram. “Iterated loop spaces”. In: Ann. of Math. (2) 84 (1966), pp. 386–403. url: http://dx.doi.org/10.2307/1970453.

[RZ94]

Victor Reiner and Günter M. Ziegler. “Coxeter-associahedra”. In: Mathematika 41.2 (1994), pp. 364–393. url: http://dx.doi.org/10.1112/S0025579300007452.

[Sta63]

James Dillon Stasheff. “Homotopy associativity of \(H\)-spaces. I, II”. In: Trans. Amer. Math. Soc. 108 (1963), 275-292; ibid. 108 (1963), pp. 293–312.

[SU04]

Samson Saneblidze and Ronald Umble. “Diagonals on the permutahedra, multiplihedra and associahedra”. In: Homology Homotopy Appl. 6.1 (2004), pp. 363–411. arXiv: math/0209109. url: http://projecteuclid.org/euclid.hha/1139839559.

[Zie95]

Günter M. Ziegler. Lectures on polytopes. Vol. 152. Graduate Texts in Mathematics. Springer-Verlag, New York, 1995, pp. x+370. isbn: 0-387-94365-X. url: https://doi.org/10.1007/978-1-4613-8431-1.