ここで言う「古典的な幾何学」とは, いわゆる Euclid 幾何学や射影幾何学, そしてそれらに関連した幾何学のことである。
Euclid 空間の性質としては, 日本の大学では1年生の 線形代数で, ベクトル空間の性質として学ぶことが主になるので,
アフィン空間が大学のカリキュラムで扱われることはあまりない, と思う。 しかしながら, 単体的複体を定義するときの単体や, より一般の
多面体を扱うときには必要になる。
双曲幾何学は, modular formや \(3\)次元多様体の研究で必要になるので, 講義されているところもあると思う。
\(n\)次元の双曲幾何は, \(\R ^{n+1}\) 上
\[ b_{n,1}(\bm {x},\bm {y}) = x_{1}y_{1}+\cdots +x_{n}y_{n} - x_{n+1}y_{n+1} \]
で定義される bilinear form を用いて \(b_{n,1}(\bm {x},\bm {x})=-1\) で定義される空間 (の連結成分) の幾何学であるが, この
bilinear form を
\[ b_{n-1,2}(\bm {x},\bm {y}) = x_{1}y_{1}+\cdots +x_{n-1}y_{n-1} -x_{n}y_{n} - x_{n+1}y_{n+1} \]
に変えたものは anti-de Sitter geometry と呼ぶようである。\(n=3\) のときは, 一葉双曲面の幾何学であるが。
Barbot らの [Bar+] に anti-de Sitter geometry に関する open question のリストがある。
これらを統一して扱う方法として, Anan\('\)in と Grossi が [AG11] で提案しているものがある。 その論文では, 複素数や
四元数上の双曲幾何学も登場する。
- complex hyperbolic geometry
- quaternionic hyperbolic geometry
Euclid幾何学では, 三角形の内角の和が \(\pi \) であり, 双曲幾何学では \(\pi \) より小さくなる。そして, 球面幾何学では \(\pi \) より大きくなる,
ということは良く知られているが, 球面幾何学については何を見るのがよいのだろうか。 私はよく知らない。
球面三角法については, 最近 Tao の blog で 四元数を用いて扱う方法が解説されている。
References
-
[AG11]
-
Sasha Anan\('\)in
and Carlos H. Grossi. “Coordinate-free classic geometries”. In: Mosc.
Math. J. 11.4 (2011), pp. 633–655, 821. arXiv: math/0702714. url:
https://doi.org/10.17323/1609-4514-2011-11-4-633-655.
-
[Bar+]
-
Thierry Barbot et al. Some open questions on anti-de Sitter geometry.
arXiv: 1205.6103.
|