層と関連した概念

代数幾何学代数解析学など, 幾何学的対象を代数的に扱う際には層は必要不可欠な概念である。

代数的トポロジーでは, 層の代わりに fibration などの概念を導入し, 空間レベルで代数的な操作を行なえるよう にしてきたが, 代数的トポロジーでも層の概念の応用はある。 最も古いのは, 局所係数と局所係数の(コ)ホモロジーだろう。 より新しいものとしては, Mark Johnson による多重ループ空間の topological category 上の presheaf としての記述などがある。 また Lurie の [Lur09] の §7.1 や Shulman の [Shu08] にあるように, 位相空間 \(X\) 上の parametrized space を考えることと, \(X\) 上の層を考えることは密接に関係している。

Grothendieck と Verdier に従って, 層を扱う際には, derived category を考えるのが普通である。最近では simplicial (pre)sheaf の model category も使われているが。

群の作用を持つ空間上では, equivariant sheaf を考え, その derived category を考えたくなる。

  • equivariant sheaf

Bernstein と Lunts [BL94] によると, 離散群でない場合は, 単純に equivariant sheaf の成す Abelian category の derived category を取るのではうまくいかないようである。彼等はその代わりとなる triangulated category を構成している。

また, 層に関連した toposgerbestacktorsor などの概念も徐々に一般的になってきた。 特に数理物理からの要請によるところが大きい。 また, elliptic cohomology の構成を, 高次のベクトル束を用いて行なうというアイデアもあるから, 高次の層もこれから一般的になっていくだろう。 Carchedi の [Car]にあるように, stack 上の stack なども考えられている。

これらの概念の入門としては, Moerdijk の [Moe] が分りやすい。

高次化としては, up to homotopy での層も使われるようになってきた。 Berwick-Evans, Boavida de Brito, Pavlov [BBP] では, \(\infty \)-sheaf と呼ばれているが, homotopy sheaf とも呼ばれるようである。

  • \(\infty \)-sheaf あるいは homotopy sheaf

層 \(\cF \) は, presheaf で \(U\) の covering \(\{U_{i}\}_{I}\) が与えられたとき, \(\cF (U)\) が図式 \[ \xymatrix { {\displaystyle \prod _i \cF (U_i)} \ar @<1ex>[r]^(.4){p} \ar @<-1ex>[r]_(.4){q} & {\displaystyle \prod _{i,j\in I} \cF (U_i\cap U_j),} } \] の equalizer になることで定義されるが, 3個以上の \(U_{i}\) の共通部分を使って, この図式を無限に右に拡張することができる。その図式の homotopy limit と \(\cF (U)\) が weakly equivalent になることで, 定義される。 当然, model category に値を持つ presheaf に対する条件である。

逆に, より具体的な方向としては, 組み合せ論で用いられる層がある。

作用素環の世界では, 従来 field of \(C^*\)-algebras などのような, bundle や sheaf に近いものが使われてきたが, ちゃんと \(C^*\)-algebra の sheaf を扱った文献も出てきた。 Ara と Mathieu の [AM10] や Roe と Siegel の [RS13] など。

  • sheaf of \(C^*\)-algebras

層の双対概念として “cosheaf” を考えることもできる。 単に形式的に定義されるだけでなく, 最近では実際の問題に使われるようにもなってきた。

Flori と Fritz [FF16] は sheaf ではない presheaf を扱うために gleaf の概念を導入した。Presheaf に貼り合せ (gluing) の情報を付加したものである。Sheaf と cosheaf を組み合せた bisheaf という概念もある。 Nanda と Patel の [NP20] など。

  • gleaf
  • bisheaf

References

[AM10]

Pere Ara and Martin Mathieu. “Sheaves of \(C^{*}\)-algebras”. In: Math. Nachr. 283.1 (2010), pp. 21–39. url: http://dx.doi.org/10.1002/mana.200910097.

[BBP]

Daniel Berwick-Evans, Pedro Boavida de Brito, and Dmitri Pavlov. Classifying spaces of infinity-sheaves. arXiv: 1912.10544.

[BL94]

Joseph Bernstein and Valery Lunts. Equivariant sheaves and functors. Vol. 1578. Lecture Notes in Mathematics. Berlin: Springer-Verlag, 1994, pp. iv+139. isbn: 3-540-58071-9.

[Car]

David Carchedi. Sheaf Theory for Étale Geometric Stacks. arXiv: 1011.6070.

[FF16]

Cecilia Flori and Tobias Fritz. “Compositories and gleaves”. In: Theory Appl. Categ. 31 (2016), Paper No. 33, 928–988. arXiv: 1308.6548.

[Lur09]

Jacob Lurie. Higher topos theory. Vol. 170. Annals of Mathematics Studies. Princeton University Press, Princeton, NJ, 2009, pp. xviii+925. isbn: 978-0-691-14049-0. url: http://dx.doi.org/10.1515/9781400830558.

[Moe]

Ieke Moerdijk. Introduction to the language of stacks and gerbes. arXiv: math/0212266.

[NP20]

Vidit Nanda and Amit Patel. “Canonical stratifications along bisheaves”. In: Topological data analysis—the Abel Symposium 2018. Vol. 15. Abel Symp. Springer, Cham, [2020] ©2020, pp. 391–403. arXiv: 1812. 05593. url: https://doi.org/10.1007/978-3-030-43408-3_15.

[RS13]

John Roe and Paul Siegel. “Sheaf theory and Paschke duality”. In: J. K-Theory 12.2 (2013), pp. 213–234. arXiv: 1210 . 6420. url: https://doi.org/10.1017/is013006016jkt233.

[Shu08]

Michael A. Shulman. “Parametrized spaces model locally constant homotopy sheaves”. In: Topology Appl. 155.5 (2008), pp. 412–432. arXiv: 0706.2874. url: http://dx.doi.org/10.1016/j.topol.2007.11.001.