ホモトピー代数

代数的トポロジーを勉強していると, 空間や連続写像に対する操作が代数的対象に対する操作とよく似ていることに気づくだろう。 空間の局所化や, ホモトピー極限, そして関手の微積分などもそうである。

このページでは, それらの「空間に対する代数的操作」やその一般論についてまとめた。 その意味で「ホモトピー代数」という言葉を使っている。

「ホモトピー代数 (homotopical algebra)」は, Quillen が model category の概念を導入した本 [Qui67] のタイトルであり, model category の理論のことを指すことが多いような気がする。 しかし, 現在では model category の他にも, \((\infty ,1)\)-category などホモトピー論を行なう枠組みが色々発見されている。それらもまとめて, 「ホモトピー代数」という言葉を使うことにする。

Quillen の意味では, ホモロジー代数もホモトピー代数の一部となる。

代数的 (ホモロジー代数的) な概念のホモトピー論的な類似も色々考えられている。

逆に, 安定ホモトピー論登場した概念で, triangulated category に一般化され, 広く使われるようになったものもある。 Brown の表現定理, Bousfield 局所化などである。

安定ホモトピー圏は, その元になる spectrum の成す model category があるので, そこで様々な構成ができる。Derived category もその元になる chain complex の圏がある。 ホモトピー代数を行なう際には, このようなより具体的な圏で議論できるとうれしい。Triangulated category については, そのようなものを enhancement という。

Quillen が model category の概念を考えた動機の一つは, Abelian category でない圏でホモロジー代数の類似を行ないたいということだった。

References

[Qui67]

Daniel G. Quillen. Homotopical algebra. Lecture Notes in Mathematics, No. 43. Berlin: Springer-Verlag, 1967, iv 156 pp. (not consecutively paged).