Abel群

ホモロジー群は, 位相空間に対しAbel群を対応させる。 ホモトピー群も\(2\)次以上ではAbel群になる。 代数的トポロジーを勉強する際には, Abel群についてもいろいろ知っておいた方がよい。

  • Abel群の直和
  • 有限個の場合, 直和と直積は一致する。
  • 集合 \(S\) で生成された自由Abel群
  • Abel群の圏は tensor product で monoidal category になる。
  • Abel群の基本定理。 つまり有限生成Abel群が, cyclic group の直和に分解すること。 およびその一意性。それが, より一般に, principal ideal domain 上の有限生成加群について成り立つこと。

有限生成Abel群は, 上のAbel群の基本定理により, 無限巡回群と素数巾位数の巡回群の直和に分かれる。 よって各素数 \(p\) に対し “\(p\)成分” を調べればよいことになる。そのためには局所化というものを考える。

  • Abel群の局所化

Serre [Ser53] は, ホモトピー群ホモロジー群の特定の素数 \(p\) に関する情報だけを取り出すために, class of Abelian groups という概念を導入した。 その目的のためには, より柔軟性の高い, 空間の局所化という操作が使われるようになったが, 現在では, Abelian category の Serre subcategory という形で使われている。

  • Serre class
  • Serre subcategory

\(\Ext ^{1}(A,\Z )=0\) ならば, \(A\) は free Abelian group か, という問題は Whitehead の問題と呼ばれているらしい。この Whitehead は, ホモトピー論の J.H.C. Whitehead である。

  • Whitehead’s problem

この問題が, 実は集合論の ZFC の公理系と独立である, という驚くべき結果が Shelah [She74] により示されている。 一方, 最近 Clausen と Scholze が condensed 版は, ZFC の公理系から従うことを示した, らしい。 Bergfalk らの [BLŠ] に Youtube への link がある。 Bergfalk らは, その初等的な証明を与えた, と言っている。

位相群で可換なものについても, 様々な研究がある。 基本的なことが書いてある文献としては, Lukács の [Luk] がよい。まずは, この lecture note で Pontrjagin dual について理解すべきだろう。

  • 位相Abel群の Pontrjagin dual

Locally compact Abelian group の圏については, 以下のようなことが分っている。

  • Locally compact Abelian group の圏は Abel圏にならない。また enough injectives も enough projectives も持たない。 [Mos67]
  • Locally compact Abelian group の圏は quasi-abelian category になる。

他には Fulp と Griffith の [FG71] などがある。

Semi-norm を持つものは, Gromov の functorial semi-norm などで使われる。

  • semi-norm を持つ Abel 群

位相Abel群は, 位相空間とAbel群の両方の構造を持つものである。 別の見方をすると, 位相空間の圏での Abelian group object である。より一般の symmetric monoidal category でも, Abelian group objectを定義することができる。

  • Abelian group object

ある symmetric monoidal category \(\bm {C}\) の Abelian group object の成すcategory \(\bm {C}_{mathrm{ab}}\) からの forgetful functor \[ \bm {C}_{\mathrm {ab}} \rarrow {} \bm {C} \] の left adjoint \[ \bm {C} \rarrow {} \bm {C}_{\mathrm {ab}} \] が存在するとき, それを Abelianization functor と呼んだりする。

Goerss と Schemmerhorn の [GS07] によると, homology とは, Abelianization functor の Quillen の意味の derived functor である。Harper [Har10] はそのような left derived functor を Quillen homology と呼んでいる。

References

[BLŠ]

Jeffrey Bergfalk, Chris Lambie-Hanson, and Jan Šaroch. Whitehead’s problem and condensed mathematics. arXiv: 2312.09122.

[FG71]

Ronald O. Fulp and Phillip A. Griffith. “Extensions of locally compact abelian groups. I, II”. In: Trans. Amer. Math. Soc. 154 (1971), 341-356; ibid. 154 (1971), pp. 357–363.

[GS07]

Paul Goerss and Kristen Schemmerhorn. “Model categories and simplicial methods”. In: Interactions between homotopy theory and algebra. Vol. 436. Contemp. Math. Providence, RI: Amer. Math. Soc., 2007, pp. 3–49. arXiv: math / 0609537. url: http://dx.doi.org/10.1090/conm/436/08403.

[Har10]

John E. Harper. “Bar constructions and Quillen homology of modules over operads”. In: Algebr. Geom. Topol. 10.1 (2010), pp. 87–136. arXiv: 0802.2311. url: https://doi.org/10.2140/agt.2010.10.87.

[Luk]

Gábor Lukács. Notes on duality theories of abelian groups. arXiv: math/0605149.

[Mos67]

Martin Moskowitz. “Homological algebra in locally compact abelian groups”. In: Trans. Amer. Math. Soc. 127 (1967), pp. 361–404.

[Ser53]

Jean-Pierre Serre. “Groupes d’homotopie et classes de groupes abéliens”. In: Ann. of Math. (2) 58 (1953), pp. 258–294. url: http://dx.doi.org/10.2307/1969789.

[She74]

Saharon Shelah. “Infinite abelian groups, Whitehead problem and some constructions”. In: Israel J. Math. 18 (1974), pp. 243–256. url: https://doi.org/10.1007/BF02757281.