Simplicial Model Categories

ホモトピー論を行なう枠組みには, model category 以外にも様々なものがある。 では, どういう場合に model category を使うかであるが, 私は位相空間で行なうことの類似を行ないたいときに, model category を用いるのが良いと思っている。

ただ, 基本的な model category の公理だけだと, 少々無理がある。 例えば, 位相空間に対し写像空間を用いて行なう構成の真似をしようとと思うと, 2つの object の間の morphism の集合が, ある種の幾何学的対象になっている必要がある。そのために導入されたのが, simplicial model category という概念である。

まず morphism の集合が simplicial set になるということから, model category \(\bm {M}\) が simplicial model category になるためには, \(\bm {M}\) が simplicial set の圏で enrich されている, つまり simplicial category である必要がある。 更に, \(\bm {M}\) の対象 \(X\) と simplicial set \(K\) に対し, \(\bm {M}\) の対象 \(X\otimes K\) と \(X^{K}\) が定義されることも必要である。これらは, 圏論の用語を用いると, simplicial set の成す closed monoidal category による tensoring (copowering) と powering (cotensoring) を持つ, ということである。 そして, model structure と simplicial enrichment の間の関係に関する条件を要求する。

正確な条件や, 基本的な性質は, Hirschhorn の本 [Hir03] の Chapter 10 を読むのがよいだろう。他には, Lurie の本 [Lur09] の appendix の A.3 がある。

もちろん, simplicial set の圏だけでなく, より一般の monoidal model categoryenrich された model category を考えることもできる。

この simplicial model structure は, 安定ホモトピー論を行なうためにも必要になってくる。 \(S^1\) との “smash積” を考える必要があるからである。 また Dwyer と Kan による model category の localization (simplicial localization) とも関係が深い。

自然な疑問は, model category が与えられたときに, それに simplicial model category の構造を入れられるか, という問題である。これには, まず simplicial category の構造を入れ, そこに model category の構造を入れ, 更に元の model category と比較する, といういくつかの段階があって, 結構面倒である。 この問題を扱ったものとして, Dugger の [Dug01] と Rezk, Schwede, Shipley の [RSS01] がある。また, 簡潔にまとめたものとして Blumberg と Riehl の [BR14] の Appendix A がある。

References

[BR14]

Andrew J. Blumberg and Emily Riehl. “Homotopical resolutions associated to deformable adjunctions”. In: Algebr. Geom. Topol. 14.5 (2014), pp. 3021–3048. arXiv: 1208.2844. url: https://doi.org/10.2140/agt.2014.14.3021.

[Dug01]

Daniel Dugger. “Replacing model categories with simplicial ones”. In: Trans. Amer. Math. Soc. 353.12 (2001), 5003–5027 (electronic). url: http://dx.doi.org/10.1090/S0002-9947-01-02661-7.

[Hir03]

Philip S. Hirschhorn. Model categories and their localizations. Vol. 99. Mathematical Surveys and Monographs. American Mathematical Society, Providence, RI, 2003, pp. xvi+457. isbn: 0-8218-3279-4. url: https://doi.org/10.1090/surv/099.

[Lur09]

Jacob Lurie. Higher topos theory. Vol. 170. Annals of Mathematics Studies. Princeton University Press, Princeton, NJ, 2009, pp. xviii+925. isbn: 978-0-691-14049-0. url: http://dx.doi.org/10.1515/9781400830558.

[RSS01]

Charles Rezk, Stefan Schwede, and Brooke Shipley. “Simplicial structures on model categories and functors”. In: Amer. J. Math. 123.3 (2001), pp. 551–575. arXiv: math/0101162. url: http://muse.jhu.edu/journals/american_journal_of_mathematics/v123/123.3rezk.pdf.