Abelian category は, ホモロジー代数を行なう場として導入されたものであるが, Abel圏ではない圏でホモロジー代数の類似を行ないたいという欲求から,
様々な一般化や変種が考えられている。 そのようなものとして, 例えば, 以下のようなものがある。
Quillen exact category の中でも, 特に Abelian category に近いものとして, Previdi [Pre12] が
quasiabelian exact category を導入しているが, その論文の内容に間違いがあることが, Bühler の [Bue]
で指摘されている。 Previdi は, (AIC) という条件を導入し, (AIC) とその双対を満すことが quasiabelian exact
であることと同値であることを主張しているが, Bühler は, その反例を挙げている。そしてその2つの条件は quas-abelian category
と同値であることを示している。 また (AIC) のみをみたすものは, Laumon の [Lau83] で登場する additve category
と同値であることが示されている。
これらの一般化では, pre-additivity, つまり Abel 群の category で enrich されていることを仮定しているが,
Deitmer [Dei12] は, \(\F _1\)上のホモロジー代数を開発するために, pre-additive とは限らないが, kernel cokernel
を持つような圏でのホモロジー代数について考えている。Deitmer は, そのような圏を belian category と呼んでいる。
Dyckerhoff と Kapranov の proto-exact category [DK19] とかなり近い構造のようである。
この proto-exact category を始めとして, Quillen の exact category 自体, 様々な方向に一般化されている。
Abel 圏の 高次化としては, Nakaoka の [Nak08]がある。M. Dupont の [Dup] もある。 それらの比較が
[Nak10] で行なわれている。
別の方向の高次化として, Jasso [Jas16] の \(n\)-Abelian category や \(n\)-exact category がある。Iyama
[Iya11] の \(n\)-cluster tilting subcategory の性質を公理化したものである。Ebrahimi と Nasr-Isfahani
[EN23] は, \(n\Z \)-cluster tilting subcategory の性質から, \(n\Z \)-Abelian category や \(n\Z \)-exact category
の概念を導入している。
- \(n\)-Abelian category
- \(n\Z \)-Abelian category
他にも Abel 群を Abelian hypergroup に変えたものを考えた Roberto と Tenório の [AT] もある。
このようなポルトガル語圏やスペイン語圏の人の名前は, どこからどこまでが姓なのか分りづらく, 文献を整理するときに苦労するが, この著者は,
それぞれ Roberto と Tenório が姓のようである。
References
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