Morse 理論とその拡張

Morse 理論に関しては, 有名なのは Milnor の本 [Mil63] である。 日本語なら, 横田の [横田一78] を読むのも良いかもしれない。 Lie 群を例に色々具体的に計算してある。Bott による解説 [Bot88] や ここから download できる Chen による簡単な解説を先に読んでから, これらの本を読んでみるのも良いだろう。 Hutchings の informal lecture note もある。

  • Morse 関数

Morse 不等式は, 多様体の \(k\) 次 Betti 数が Morse 関数の index \(k\) の critical point の数で抑えられるということを言っている。 \(L^2\)-Betti 数についても Morse 不等式が成り立つことを示したのは, Novikov と Shubin [NS86] である。Farber は [Far96] で更に extended \(L^2\)-(co)homology を導入し, Novikov らの結果を改良している 。

  • Morse 不等式
  • \(L^2\)-Morse 不等式
  • asymptotic \(L^2\)-Morse 不等式 (Mathai と Shubin の [MS])
  • extended \(L^2\)-(co)homology と Morse 不等式

Betti 数ではなく, ホモロジー, そしてホモトピー型を, Morse 関数から得ようというのは自然な欲求である。そのためには, transversality を満たした良い Morse 関数が必要になる。

  • Morse-Smale 関数
  • Morse-Bott (Morse-Bott-Smale) 関数

これらの良い Morse 関数があると chain complex が作れ, そのホモロジーが, その多様体の整係数ホモロジーと同型になる。Critical point の集合が submanifold になっている場合も, 適当な条件を満たせば chain complex が作れ, 元の多様体のホモロジーが得られる。この事実は, Banyaga と Hurtubise の [BH10] では, Morse Homology Theorem と呼ばれている。

  • Morse Homology Theorem

ホモトピー論的には, chain complex よりも, その多様体のホモトピー型を表す有限 CW複体が得られるとうれしい。 そのような試みとして, 例えば Kalmbach の [Kal75] がある。 また, R. Cohen と Jones と Segal の preprint [CJS] では, Morse 関数に対し topological category を構成し, その分類空間が元の多様体とホモトピー同値や同相になるものが作れることが主張されている。 Morse-Smale 関数による cell 分割については, Burghelea と Friedlander と Kappeler の [BFK] をまず見てみるとよいと思う。

Morse 理論は, Morse 関数というよりも, それからできる \(1\)-form \(df\) の性質と多様体のホモトピー型に関する関係を述べていると考えることができる。 Riemann計量が入っていれば, \(df\) をベクトル場に直して gradient vector field \(\mathrm{grad} f\) を考えることができるし, その方が一般的だろう。

  • gradient vector field (gradient flow)

Pajitnov [Paj] によると, Morse 理論で gradient flow を使うことを思い付いたのは, R. Thom [Tho49] らしい。Pajitnov も書いているように, Riemann 計量を使わなくても vector field を構成することはできるが。

Morse 関数の間の deformation などを考えようとすると, Morse 関数より一般的な特異点を持つ関数を考える必要が出てくる。他にも様々な Morse 理論の一般化が考えられている。

Morse 関数のような実数値関数からは, level set の同じ connected component に属する点を同一視することにより, Reeb graph という graph ができる。Reeb space という一般化もある。

References

[BFK]

Dan Burghelea, Leonid Friedlander, and Thomas Kappeler. On the Space of Trajectories of a Generic Vector Field. arXiv: 1101.0778.

[BH10]

Augustin Banyaga and David E. Hurtubise. “Morse-Bott homology”. In: Trans. Amer. Math. Soc. 362.8 (2010), pp. 3997–4043. arXiv: math/0612316. url: http://dx.doi.org/10.1090/S0002-9947-10-05073-7.

[Bot88]

Raoul Bott. “Morse theory indomitable”. In: Inst. Hautes Études Sci. Publ. Math. 68 (1988), 99–114 (1989). url: http://www.numdam.org/item?id=PMIHES_1988__68__99_0.

[CJS]

R. L. Cohen, J.D.S. Jones, and G. B. Segal. Morse theory and classifying spaces. preprint. url: http://math.stanford.edu/~ralph/morse.ps.

[Far96]

M. S. Farber. “Homological algebra of Novikov-Shubin invariants and Morse inequalities”. In: Geom. Funct. Anal. 6.4 (1996), pp. 628–665. arXiv: dg-ga/9606013. url: http://dx.doi.org/10.1007/BF02247115.

[Kal75]

Gudrun Kalmbach. “On some results in Morse theory”. In: Canadian J. Math. 27 (1975), pp. 88–105. url: https://doi.org/10.4153/CJM-1975-011-0.

[Mil63]

J. Milnor. Morse theory. Based on lecture notes by M. Spivak and R. Wells. Annals of Mathematics Studies, No. 51. Princeton, N.J.: Princeton University Press, 1963, pp. vi+153.

[MS]

Varghese Mathai and Mikhail Shubin. Twisted \(L^2\) invariants of non-simply connected manifolds. arXiv: dg-ga/9610018.

[NS86]

S. P. Novikov and M. A. Shubin. “Morse inequalities and von Neumann \(\mathrm{II}_1\)-factors”. In: Dokl. Akad. Nauk SSSR 289.2 (1986), pp. 289–292.

[Paj]

A. Pajitnov. \(C^0\)-topology in Morse theory. arXiv: math/0303195.

[Tho49]

René Thom. “Sur une partition en cellules associée à une fonction sur une variété”. In: C. R. Acad. Sci. Paris 228 (1949), pp. 973–975.

[横田一78]

横田一郎. 多様体とモース理論. 京都: 現代数学社, 1978.