Steenrod 代数上の unstable module と unstable algebra

位相空間 \(X\) の \(\F _p\) 係数の singular cohomology \(H^*(X;\F _p)\) には, mod \(p\) Steenrod algebra \(\mathcal{A}_p\) が作用するので, \(H^*(-;\F _p)\) は \(\mathcal{A}_p\)-module に値を持つ functor と考えることができる。 更に, suspension同型があるので, \(H^*(-;\F _p)\) は stable homotopy category からの functor とみなすこともできる。

ところが, 位相空間の singular cohomology への Steenrod operation の作用には, unstability condition があり, suspension同型により失なわれる unstable homotopy theory の情報をその作用から得ることができるのである。

例えば, Steenrod algebra 上の module の category を用いると, stable homotopy set を計算する Adams spectral sequence という spectral sequence を構成することができるが, unstable \(\mathcal{A}_p\)-module を用いると unstable Adams spectral sequence という通常の homotopy set を計算する spectral sequence を構成することができる。これは既に70年代に分っていたことである。

80年代になると, H. Miller の Sullivan 予想の解決やそれに関連した仕事などで, Steenrod algebra 上の unstable module の理解が進んだ。

文献としては, 今ならまずは Schwartz の本 [Sch94] を見るべきだろうか。

References

[Sch94]

Lionel Schwartz. Unstable modules over the Steenrod algebra and Sullivan’s fixed point set conjecture. Chicago Lectures in Mathematics. Chicago, IL: University of Chicago Press, 1994, pp. x+229. isbn: 0-226-74202-4; 0-226-74203-2.