NDR pair

NDR (Neighborhood Deformation Retract) pair という概念を誰が最初に導入したのか, 私はよく分からない。 包含写像 \(A\hookrightarrow X\) が closed cofibration であるための条件として, 本質的に NDR pair と同じものが挙げられているのは, Strøm の論文 [Str66] であるが。

  • 位相空間対 \((X,A)\) の NDR representation \((h,u)\)
  • 基点が非退化 (nondegenerate) であること
  • strong NDR pair
  • DR (deformation retract) pair
  • \((X,A)\) が NDR pair であることと, 包含写像 \[ A \hookrightarrow X \] がclosed cofibrationであることは同値である。

私が最初に NDR pair を勉強したのは, Peter May の 多重ループ空間の本 [May72] だった。 他にも Peter May の著作にはよく使われている。 日本語なら [西田吾85] がよいだろう。

ループ空間に関係したこととして, Freudenthal suspension \(E: X\to \Omega \Sigma X\) がいつ cofibraion になるか, という問題があるが, そのための十分条件として \((X\times X,\Delta (X))\) が NDR pair であることを Lewis [Lewis1982] が示している。ここで \(\Delta : X \to X\times X\) は対角写像である。 このような空間は, locally equiconnected space として古くから調べられてきたようである。例えば, Dugundji の [Dugundji1965] では, Foxの [Fox43] や Serre の [Ser51] などが挙げられている。 どうやら, この Fox の論文で導入されたものらしい。

  • locally equiconnected space

このように, NDR pair は 写像空間のmodel を構成するときに重要であるが, それは NDR pair が, ある写像が quasifibration であることを証明しようとするときに有用だからである。いわゆる Dold-Thom criterion である。もちろん cofibration を用いるときには, NDR pair は無意識の内に使われているのであるが。

References

[Fox43]

Ralph H. Fox. “On fibre spaces. I”. In: Bull. Amer. Math. Soc. 49 (1943), pp. 555–557.

[May72]

J. P. May. The geometry of iterated loop spaces. Lectures Notes in Mathematics, Vol. 271. Berlin: Springer-Verlag, 1972, pp. viii+175.

[Ser51]

Jean-Pierre Serre. “Homologie singulière des espaces fibrés. Applications”. In: Ann. of Math. (2) 54 (1951), pp. 425–505. url: http://dx.doi.org/10.2307/1969485.

[Str66]

Arne Strøm. “Note on cofibrations”. In: Math. Scand. 19 (1966), pp. 11–14. url: https://doi.org/10.7146/math.scand.a-10791.

[西田吾85]

西田吾郎. ホモトピー論. Vol. 16. 共立講座現代の数学. 東京: 共立出版, 1985.