Operad と関連した概念

Operad は, Peter May により [May72] において, 多重ループ空間を調べるために導入されたものである。 もっとも, そのアイデアは, Boardman と Vogt の仕事 [BV73] を基にしたもののようであるが。 更にその元になっているのは, 代数的トポロジーの様々な問題に現れた “higher homotopy” の研究である。そのような operad 以前の higher homotopy の研究から, 近年の様々な分野への応用については, Huebschmann の [Hue11] がある。

その後は, 多重ループ空間の理論だけでなく, 代数数理物理の世界でもよく使われるようになった。 現在ではそちらの方が operad の研究は盛んであると言って良いだろう。 位相空間の圏以外でも operad が定義され使われているのである。 Corner と Gurski の [CG] の冒頭では, operad が現在のような成功を得たのは, この任意の symmetric monoidal category で定義できるということが, 一つの理由として挙げられている。もう一つの理由としては up to homotopy で考えられる柔軟性, つまり homotopy algebra が定義できること, と書かれている。

Manin と Borisov の [BM08] では, operad の解釈として次の三つが挙げられている。

  • ある集合上に, 合成とその間の満たすべき条件が与えられた代数的構造を調べるためのもの
  • グラフ理論categorification を体現するもの
  • tensor network や quantum computation などの計算プロセスの形式化

Operad については, かつては, Boardman と Vogt の本 [BV73] と Peter May の本 [May72] ぐらいしかなかったが, 最近の operad 人気のために, 新しい本もいくつか出版されている。

Operad のことを網羅的に扱ったのは, Markl と Shnider と Stasheff の本 [MSS02] である。 ただ, この本はあまり読み易くはない。より簡潔にまとまっているものとして, Markl の [Mar08] がよいだろう。参考文献も豊富である。少し前のものなら, Kriz と May の本 [KM95] もある。最も簡潔な解説は, Stasheff が AMS の Notices vol. 51 No. 6 に書いている “WHAT IS...an Operad” [Sta04] だろうか。PROP も含めた解説としては, Ionescu の [Ion] がよいかもしれない。 Bielefeld 大学の SFB 343 という preprint server では Osnabrück で行なわれた1998年の workshop のまとめが Postscript 形式で公開されている。

代数的な面が強いが, 最近の本としては, Loday と Vallette の [LV12] がある。また Fresse が “Homotopy of Opeards and Grothendieck-Teichmüller groups” という本を書いていて, ここで公 開している。2巻構成で, 第1巻が600ページ近く, 第2巻は700を超えている。

組み合せ論や代数の人を念頭に置いた, nonsymmetric operad (対称群の作用を持たない operad) の解説として Giraudo の [Gir] がある。

それまで冷遇(?)されていた operad が, ’90年代になって突如注目されるようになったことは, [LSV97] という conference のタイトルが “Renaissance Conference” と銘打たれていることからもわかる。Markl の [Mar08] の最初にも, “renaissance” のことが書かれている。

この “renaissance” は, 数理物理学に現れる構造など, 様々なものが operad 上の algebra として記述できることが分ってきたから, だと思う。

古典的な operad は, object の列 \(C_{0},C_{1},\ldots \) で各 \(C_{n}\) が対称群 \(\Sigma _{n}\) を持つものを用いて定義されるが, そのような列は, 有限集合 (の同型類) と全単射の成す圏 \(\Sigma \) 上の関手とみなすことができる。 このようなものを polynomial functor とか species とか言ったりする。 そして operad を polynomial functor で, ある条件をみたすものとして定義することもできる。 例えば, Kontsevich と Soibelman [KS00] は, このようにして operad を定義している。

  • polynomial functor

PROP高次の圏に対応した高次の operad などの関連した概念については, 次のページにまとめた。

References

[BM08]

Dennis V. Borisov and Yuri I. Manin. “Generalized operads and their inner cohomomorphisms”. In: Geometry and dynamics of groups and spaces. Vol. 265. Progr. Math. Basel: Birkhäuser, 2008, pp. 247–308. arXiv: math/0609748. url: http://dx.doi.org/10.1007/978-3-7643-8608-5_4.

[BV73]

J. M. Boardman and R. M. Vogt. Homotopy invariant algebraic structures on topological spaces. Lecture Notes in Mathematics, Vol. 347. Berlin: Springer-Verlag, 1973, pp. x+257.

[CG]

Alexander S. Corner and Nick Gurski. Operads with general groups of equivariance, and some 2-categorical aspects of operads in Cat. arXiv: 1312.5910.

[Gir]

Samuele Giraudo. Nonsymmetric operads in combinatorics. arXiv: 2104.12398.

[Hue11]

Johannes Huebschmann. “Origins and breadth of the theory of higher homotopies”. In: Higher structures in geometry and physics. Vol. 287. Progr. Math. Birkhäuser/Springer, New York, 2011, pp. 25–38. arXiv: 0710.2645.

[Ion]

Lucian M Ionescu. From operads and PROPs to Feynman Processes. arXiv: math/0701299.

[KM95]

Igor Křı́ž and J. P. May. “Operads, algebras, modules and motives”. In: Astérisque 233 (1995), iv+145pp.

[KS00]

Maxim Kontsevich and Yan Soibelman. “Deformations of algebras over operads and the Deligne conjecture”. In: Conférence Moshé Flato 1999, Vol. I (Dijon). Vol. 21. Math. Phys. Stud. Dordrecht: Kluwer Acad. Publ., 2000, pp. 255–307. arXiv: math/0001151.

[LSV97]

Jean-Louis Loday, James D. Stasheff, and Alexander A. Voronov, eds. Operads: Proceedings of Renaissance Conferences. Vol. 202. Contemporary Mathematics. Papers from the Special Session on Moduli Spaces, Operads and Representation Theory held at the AMS Meeting in Hartford, CT, March 4–5, 1995, and from the Conference on Operads and Homotopy Algebra held in Luminy, May 29–June 2, 1995. Providence, RI: American Mathematical Society, 1997, pp. x+443. isbn: 0-8218-0513-4. url: http://dx.doi.org/10.1090/conm/202.

[LV12]

Jean-Louis Loday and Bruno Vallette. Algebraic operads. Vol. 346. Grundlehren der Mathematischen Wissenschaften [Fundamental Principles of Mathematical Sciences]. Heidelberg: Springer, 2012, pp. xxiv+634. isbn: 978-3-642-30361-6. url: http://dx.doi.org/10.1007/978-3-642-30362-3.

[Mar08]

Martin Markl. “Operads and PROPs”. In: Handbook of algebra. Vol. 5. Vol. 5. Handb. Algebr. Elsevier/North-Holland, Amsterdam, 2008, pp. 87–140. arXiv: math / 0601129. url: http://dx.doi.org/10.1016/S1570-7954(07)05002-4.

[May72]

J. P. May. The geometry of iterated loop spaces. Lectures Notes in Mathematics, Vol. 271. Berlin: Springer-Verlag, 1972, pp. viii+175.

[MSS02]

Martin Markl, Steve Shnider, and Jim Stasheff. Operads in algebra, topology and physics. Vol. 96. Mathematical Surveys and Monographs. American Mathematical Society, Providence, RI, 2002, pp. x+349. isbn: 0-8218-2134-2. url: https://doi.org/10.1090/surv/096.

[Sta04]

Jim Stasheff. “What is \(\dots \) an operad?” In: Notices Amer. Math. Soc. 51.6 (2004), pp. 630–631.