Algebraic theory と関連した概念

(Algebraic) theory というのは, 「理論」という一般的な意味ではなく, Lawvere により [Law63] で導入された概念で, 自然数と1対1に対応する object を持つ, ある構造を持った small category のことである。 「〜の代数的理論」を英語で表現するときも “algebraic theory of 〜” となるのでややこしい。

Lawvere の論文は, Theory and Applications of Cateogires の reprint として, ここから download できる。Bergner の [Ber06] では, Borceaux の [Bor94] が参考文献として挙げてある。Bergner の論文にも簡単なまとめがあるが。

Reprint の方は, 冒頭に Author’s comments があり, それを読むのも興味深い。 そこでは, 原論文の複雑な証明は, その後様々な人の仕事により整理され単純化されている, と書かれている。 (Reprint が出た当時での) 最新の文献として, [PR04] が挙げられている。

関連した言葉として universal algebra と呼ばれるものがある。 nLab のページには, algebraic theory やそのモデルや algebraic theory 上の algebra を調べることだと書いてあり, こちらの方が「理論」としての意味のようである。 Variety of algebras という言葉もあり, それぞれが何を意味するのか, 素人には分かりづらい。

Algebraic theory 自体にもいくつか変種があり, ややこしい。 最も単純なのは Rosicky の [Ros07] にある定義だろう。

  • semi-theory
  • algebraic theory
  • simplicial algebraic theory [BD10]

Algebraic theory \(T\) に対し, その上の (strict) algebra が定義される。 そして, それにより様々な代数的構造を記述することができる。Badzioch の [Bad02] の Introduction にある群の例が分かり易い。

  • algebrai theory 上の algebra
  • algebraic theory 上の homotopy algebra

ホモトピー論の人間なら, object が自然数で添字付けられ \(n\)番目の object が \(1\)番目の object の \(n\)個の直積と同型という algebraic theory の定義から, すぐに Segal の \(\Gamma \)-space [Seg74] を思い出す, はずである。実際, \(\Gamma \)-space と algebraic theory の関係は, Badzioch [Bad02; Bad05] により調べられている。

Algebraic theory \(T\) 上の位相空間に値を持つ algebra を考える時には, “up to weak equivalence” で考えたい。そのようなものを homotopy \(T\)-algebra という。Badzioch は [Bad02] で位相空間に値を持つ strict \(T\)-algebra, そして homotopy \(T\)-algebra の圏が model category の構造を持つことを示している。 そして homotopy \(T\)-algebra は, strict \(T\)-algebra と weakly equivalent であることが示されている。

応用としては, 例えば, Goodwillie calculus に関係した, Biedermann と Dwyer の[BD10] がある。 そこでは, homotopy \(n\)-nilpotent group という概念を定義するために使われている。

別の「弱め」方, つまりホモトピーではなく category theory を用いて「弱める」方法について考えたものとして, Gould の thesis [Gou] がある。

Bergner は [Ber06] で algebraic theory の一般化, multi-sorted theory を定義し, Badzioch の結果の類似を証明している。

  • multi-sorted theory

Corrigan-Salter [Cor15] は multi-sorted theory の一般化として finite product sketch というものを導入し, Badzioch や Bergner の結果が一般化できることを示している。

  • finite product sketch

Higher version としては, Cranch の thesis [Cra] の quasicategory を用いた \((\infty ,1)\)-version もある。 Matsuoka の [Mat] もある。

Schwede [Sch01] は, pointed algebraic theory 上の algebra の category の simplicial object の category を考えている。 その stable homotopy category がその algebraic theory に associate した ring spectrum で記述されることを示していて, 興味深い。

  • pointed algebraic theory に associate した ring spectrum

Lawson と Szymik [LS] は, quandlerack の場合を調べている。

References

[Bad02]

Bernard Badzioch. “Algebraic theories in homotopy theory”. In: Ann. of Math. (2) 155.3 (2002), pp. 895–913. arXiv: math/0110101. url: http://dx.doi.org/10.2307/3062135.

[Bad05]

Bernard Badzioch. “From \(\Gamma \)-spaces to algebraic theories”. In: Trans. Amer. Math. Soc. 357.5 (2005), 1779–1799 (electronic). arXiv: math/0306010. url: http://dx.doi.org/10.1090/S0002-9947-04-03711-0.

[BD10]

Georg Biedermann and William G. Dwyer. “Homotopy nilpotent groups”. In: Algebr. Geom. Topol. 10.1 (2010), pp. 33–61. arXiv: 0709.3925. url: http://dx.doi.org/10.2140/agt.2010.10.33.

[Ber06]

Julia E. Bergner. “Rigidification of algebras over multi-sorted theories”. In: Algebr. Geom. Topol. 6 (2006), pp. 1925–1955. arXiv: math/0508152. url: http://dx.doi.org/10.2140/agt.2006.6.1925.

[Bor94]

Francis Borceux. Handbook of categorical algebra. 2. Vol. 51. Encyclopedia of Mathematics and its Applications. Categories and structures. Cambridge: Cambridge University Press, 1994, pp. xviii+443. isbn: 0-521-44179-X.

[Cor15]

Bruce R. Corrigan-Salter. “Rigidification of homotopy algebras over finite product sketches”. In: J. Pure Appl. Algebra 219.6 (2015), pp. 1962–1991. arXiv: 1307.6896. url: https://doi.org/10.1016/j.jpaa.2014.07.019.

[Cra]

James Cranch. Algebraic Theories and \((\infty ,1)\)-Categories. arXiv: 1011.3243.

[Gou]

M. R. Gould. Coherence for Categorified Operadic Theories. arXiv: 1002.0879.

[Law63]

F. William Lawvere. “Functorial semantics of algebraic theories”. In: Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 50 (1963), pp. 869–872.

[LS]

Tyler Lawson and Markus Szymik. The homotopy types of free racks and quandles. arXiv: 2106.01299.

[Mat]

Takuo Matsuoka. A generalization of categorification, and higher "theory" of algebras. arXiv: 1509.01582.

[PR04]

Maria Cristina Pedicchio and Fabrizio Rovatti. “Algebraic categories”. In: Categorical foundations. Vol. 97. Encyclopedia Math. Appl. Cambridge Univ. Press, Cambridge, 2004, pp. 269–309.

[Ros07]

J. Rosický. “On homotopy varieties”. In: Adv. Math. 214.2 (2007), pp. 525–550. arXiv: math/0509655. url: http://dx.doi.org/10.1016/j.aim.2007.02.011.

[Sch01]

Stefan Schwede. “Stable homotopy of algebraic theories”. In: Topology 40.1 (2001), pp. 1–41. url: https://doi.org/10.1016/S0040-9383(99)00046-4.

[Seg74]

Graeme Segal. “Categories and cohomology theories”. In: Topology 13 (1974), pp. 293–312. url: https://doi.org/10.1016/0040-9383(74)90022-6.