幾何学的構造を用いて定義された (コ)ホモロジー

代数的トポロジーの範疇で公理化されて扱われている (co)homology theory は, 実は, 幾何学的な問題から派生した数多くの (co)homology の内の一つにすぎない。 トポロジーの中でさえ, 代数的トポロジーの一般 (co)homology として扱えないものが存在する。

古いものでは, まず層に対して定義される cohomology である Čech cohomology がある。

もう少し新しいものとしては, Borel-Moore homology がある。

  • Borel-Moore homology

Borel-Moore homology は, その名の通り Borel と Moore により [BM60] で局所コンパクト空間に対するの homology として定義された。 その後 constant sheaf の場合は, 特異 chain complex を locally finite chain に拡張した chain complex の homology [Spa93] として表すことができる。 Borel-Moore homology については, Bredon の本 [Bre97] の Chapter V, Iversen の本 [Ive86] の Chapter IX, Hughes と Ranicki の本 [HR96], などがある。

Borel-Moore homology や Čech homology と多くの場合一致するものとして, Steenrod homology と呼ばれる距離空間の homology theory がある。

距離空間に関係したものとして, coarse space という概念がある。その cohomology が Roe により [Roe93] で定義されている。 その後, Bunke らにより coarse (co)homology theory の理論が構築されている。

このように, 手術の理論など geometric topology の話題に関連して新しいホモロジーが色々発見されている。次の Davis と Lück [DL98] によるものもその一つである。

Singular homology の変種としては, Thurston による measure homology がある。Smooth manifold の simplicial volume を記述するために導入されたらしい。他にも, [解析]の道具を用いて定義された(コ)ホモロジーはいくつかある。

新しい (co)homology は, それまでの (co)homology で調べることのできない幾何学的対象を念頭において導入される。最近は, 代数幾何関係で使われるようになったものも少なくない。

組み合せ論からのものとしては, 単体的複体の enriched homology がある。

References

[BM60]

A. Borel and J. C. Moore. “Homology theory for locally compact spaces”. In: Michigan Math. J. 7 (1960), pp. 137–159. url: http://projecteuclid.org/euclid.mmj/1028998385.

[Bre97]

Glen E. Bredon. Sheaf theory. Second. Vol. 170. Graduate Texts in Mathematics. Springer-Verlag, New York, 1997, pp. xii+502. isbn: 0-387-94905-4. url: https://doi.org/10.1007/978-1-4612-0647-7.

[DL98]

James F. Davis and Wolfgang Lück. “Spaces over a category and assembly maps in isomorphism conjectures in \(K\)- and \(L\)-theory”. In: \(K\)-Theory 15.3 (1998), pp. 201–252. url: http://dx.doi.org/10.1023/A:1007784106877.

[HR96]

Bruce Hughes and Andrew Ranicki. Ends of complexes. Vol. 123. Cambridge Tracts in Mathematics. Cambridge University Press, Cambridge, 1996, pp. xxvi+353. isbn: 0-521-57625-3. url: http://dx.doi.org/10.1017/CBO9780511526299.

[Ive86]

Birger Iversen. Cohomology of sheaves. Universitext. Berlin: Springer-Verlag, 1986, pp. xii+464. isbn: 3-540-16389-1. url: http://dx.doi.org/10.1007/978-3-642-82783-9.

[Roe93]

John Roe. “Coarse cohomology and index theory on complete Riemannian manifolds”. In: Mem. Amer. Math. Soc. 104.497 (1993), pp. x+90.

[Spa93]

E. Spanier. “Singular homology and cohomology with local coefficients and duality for manifolds”. In: Pacific J. Math. 160.1 (1993), pp. 165–200. url: http://projecteuclid.org/euclid.pjm/1102624572.